婦人服「アデリー」“プラグイングランプリ”3回連続受賞で殿堂入り

受賞者のadelly

 上質なファッションとライフスタイルが揃う合同展「PLUG IN」(主催:繊研新聞社)の「プラグイングランプリ」で、婦人服の「ADELLY(アデリー)」が2018年10月展、2019年3 月展、10月展と3回連続で1位を獲得し、殿堂入りが決まった。この賞は新興ブランドを育成し支援するために実施しており、来場者が出展者の中から注目するブランドを選び、投票して決めている。3連覇を達成したアデリーにはブランド力を磨き、魅力を高めるポイントが詰まっている。

 テレビ番組の制作やイベントの企画・運営を手掛けるサプライズ(芥川格也社長)がタレントや芸能人の衣装を扱う中でファッションのパワー、魅力に気付いて新事業として2018年春夏物から立ち上げたのがアデリーだ。「ファッションは不特定多数の人々をワクワクさせ、テンションを上げる力がある」(芥川社長)。その思いを構想からわずか半年間でまとめ上げ「女性の気分を盛り上げ、心躍る日々を過ごすための服」「記憶に残る服」をコンセプトに供給体制を整えて発売した。

 〝エモ―ショナル〟をキーワードに透け感のある生地使いと刺繍のワンピース(シーズンで4型前後)がブランドを印象付けている。シーズン25~30型の企画はいずれも生地、パターン、デザイン、刺繍に凝っており、常にマイナーチェンジしており、継続品番はない。価格設定はワンピースが3万円前後から6万円台。「非日常服には値段の納得感が不可欠」との考えに加えて対象とする20代後半から30代の女性が「誇らしく着られて、背伸びせずに買える値段」に設定している。

 3連覇の要因を分析すると、計算されたブランディングが浮かび上がる。具体的にはブランドを印象付けるために①スタンダードに寄せて企画や提案内容をずらさないこと、②ワンピースを中心にして点数を絞っていること、③透け感ある素材と刺繍使いにこだわっていること、④商品力に頼り過ぎずSNS、雑誌、テレビなどで発信を行う、という4点を意識している。「ファッションビジネスの知識や常識がなかったので素人発想から手探りでスタートした。時間を経て磨かれ、明確になった」(ディレクターの小松未季さん)と振り返る。

 例えば、ワンピースに着目したのはスタイリストの小松さんが仕事で感じていたことを具現化した。「一枚でスタイリングが完成するワンピースは着る人のストレスが少ない」と考え、「打ち出しアイテムが明確だとブランドの印象が強くなる」と戦略化した。

 企画も同様で、オケージョン寄りのオーソドックスな提案に設定したきっかけは小松さんが個人的に好きだったからだ。そこから出発して「アクセサリーを足せば、会食、パーティーまで対応できる“きれいなオフィススタイル”」、「背筋が伸びる服」、「着ることによって仕草や言葉が変わる服」と発展させる中で、カギとなる素材や刺繍を決めていった。生地や刺繍の選定で迷うことはほとんどないが、他方で「刺繍や素材だけでブランドを立たせることはできない」と考えており、「スタンダードは時代を感じる表現を盛り込み、落とし込まないと古く見えるし、着る人が限定される」と新しい素材や刺繍テクニックと同時に時代観のある表現を追求している。

 女性キャスターや女優への貸し出しが多く、写真映え、テレビ映えを狙った発信に力を入れている。小松さんのスタイリストとしてのキャリアが活きる領域でもある。しかし、「あくまでも商品が先で、物作りへの思いを伝えることが最優先」としてコレクション全体が出来上がった後に一点ごと着てほしい人と掲載雑誌を当てはめているという。本業の番組制作で知り合ったタレントや芸能人のツテや単純な発信には頼らない姿勢を貫いている。

こうしたブランディングは本業で培われたテレビ番組の制作手法と体制で進められている。プロデューサー、ディレクターが企画を練り上げて、タレント、出演者が脚本に沿って演じ、それをカメラマンや製作関係者が映像に収めて番組が成立する。それと同様にアデリーにはプロデューサーに芥川社長、ディレクターに小松さんと業務分担し、2人を軸に外部の生産管理担当、パターンナー、縫製工場などの製作集団が取り巻く体制となっている。アパレルのノウハウはないけれど小松さんの志向や仕事の進め方に精通する芥川社長が全体の方向を決め、収益を管理。スタイリストのキャリアを活かして小松さんがディレクターとして企画を考え、生地や刺繍を決めて製造のプロとともに作り上げる。少人数ゆえに業務分担が明確で意思疎通が容易となり、スムーズに回る体制だ。

今後はブランドの世界観の拡張を目指す。女性の気分、エモーションを満たすために靴やバッグを展開アイテムに加え、イベントも企画したいと小松さんは考えている。「おしゃれを楽しむ心地良さを広めたい」「服のブランドにとどまらずに顔の見えるコミュニケ―ション空間を作りたい」と夢が広がる。

《主な投票の書き込み》
【デザイン・パターン】
かわいい、カラフルできれい、華やかで幸せを感じるデザインと生地の意外性が楽しい、上品で明るい配色、面白いデザインでオリジナリティがある、トレンドを押さえている、テキスタイルとデザインのバランスがいい、パターンが素晴らしい、ラストの形がいい

【素材・刺繍】
素材感がすてき、素材のこだわりが印象的、生地が美しい、刺繍柄がよい、テクニックを駆使した刺繍、レースがかわいい、レーヨンを使ったドレスやコートがかわいい

【その他】
インパクトが強い、売れそう、小ロットOEM対応だから、探していた商品(ブランド)だ、国産の可能性を感じた、ブースに居たスタッフも素敵だった、商品を着ていた社員の方がイメージに合っていた、ワンピース主体の構成が面白い

グランプリ受賞記念トロフィー

受賞トロフィー