2023年10月展出展者「neep」のショールームを訪問
PLUG IN│Editorial事務局
UPLOADED 15 AUGUST, 2024
東京・練馬の練馬駅から徒歩2分、アパートの一室にファッションのショールーム兼整体室という異色の空間がある。高橋絵子さんが手掛けるナチュラル系ブランド「neep」(ニープ)のショールームと整体・運動室「一路庵」だ。ギャラリーとしても運用しており、世界観や提案に共鳴する他ブランドを展示・販売している。昨年から体と心について学ぶ講座も開講し、心身を整え、着心地の良い服をまとって暮らす生活を説いている。
ファッションと整体を結びつけたのは立体裁断だ。美術短大卒業後、文化服装学院に入学し、小池千枝先生から立体裁断を学んだ。卒業後の00年にブランドを立ち上げる傍ら「立体裁断が大好きになって」体や人体構造、美しい動作へと興味が発展。人体デッサンや体とスタイリングの関係などを学び、そして整体へとつながった。「ファッションと整体は同じフィールドにある」と高橋さん。14年に一路庵を開設した。
ブランドが掲げるのは「自然との一体化」「全体性」「調和」。東京生まれだが、幼少期から自然が大好きだったことから「自然と一体になるファッション」「心身のバランスが整う装い、心地よい暮らし」がテーマだ。
ブランド名のneepはナチュラル、エッセンス、エコ、プロジェクトの頭文字。服は天然素材を使い、自然との対話をモチーフにしたデザインを型染めや金彩加工、手描き、手刺繍などで表現している。全てが立体裁断で、動きやすく、ゆったりしているが、適度なフィット感があって着心地が良い。目指しているのは「(着ると)エレガントな気持ちになる」服だ。
天然石の持つ個体の美しさを生かしたデザインのアクセサリーも揃える。顧客の希望や悩みを聞き、相性の良い鉱石を選んで作るオーダーメイドも人気だ。
ショールームでは顧客の志向や肌質、骨格や体形を踏まえた着こなし提案やカラーリングや全身スタイリングも提供している。顧客に寄り添うメニューとして、経絡整体や運動指導などによる個人のボディー作りや心身のバランス調整も提供している。
日本文化の衰退を防ぐために、地域の伝統織物の拡大につながる服作りに力を入れたいという。並行してショールームの空間では手仕事を大切にしているクリエイターやナチュラルな暮らしに共感するブランドとの協業も広げていく。
その一環で、先日は石垣島の伝統工芸であるミンサー織や沖縄の伝統的な織柄を使ったオリジナル商品を手掛ける沖縄の「YOAKE」(ヨアケ)と企画展を開いた。これから食や音楽も加えて「心身のバランスを大切にして丁寧に暮らす人、天然素材や自然鉱石をまとって生活する人へ向けて提案を充実していきたい」と話す。