Vol1.合同展で効果的な商談をするために必要なこと

 費用をかけて合同展に出展する上でなるべく効果を最大限にするためには、何よりもまず、今の市況やバイヤーのニーズ、商談での取引条件などを踏まえた上で展示会出展に臨むことです。どれだけ商品に自信があり、実際に良い商品を作っていても、先方のニーズや条件を知らず、闇雲に挑んでいてもなかなか良い結果を得られないのが今の展示会の状況です。
 “新規の取引先を1社でも多く開拓したい”“有力百貨店Aの売り場に入りたい”などと、目標や願望を持つのは当然ではありますが、実際のビジネス状勢を踏まえて事前に対応を考え、準備して出展することが重要です。

ー 展示会の場で商品の受注(オーダー)が決まることはないと言われるが

 日本のアパレルにおける商習慣では、『展示会は名刺交換の場』と割り切って考えるべきです。展示会で出会って、その後何度か商談を重ねていくのが日本流です。海外の場合は合同展が商談の場で、その場でオーダーが入ることも少なくありません。
また取引条件も異なり、日本では委託・消化、海外は買い取りが主流です。

ー 委託・消化と買い取りの違いを

 委託・消化と買い取りではそれぞれ一長一短ありますが、決定的な違いは、最終的なブランドの生命線である販売価格の主導権がどちらにあるかです。委託・消化では販売価格の決定権はブランド側にありますが、買い取りでは買い取った側に主導権があります。ですからもし買い取り商品が売れ残った場合、直ぐにセール、アウトレットでの販売に回され、上代よりもかなり安値で販売されてしまうこともあります。
そうするとそのブランドは「良くセールで売り出されるブランド」「アウトレットで良く売られているブランド」ということで消費者から認知されてしまい、プロパーでの販売に影響が出てくる可能性も否めません。
もちろん買い取ってもらえばその分の現金が入ってくるので、企業経営のキャッシュフローからすると良い側面もあります。
ですので、「ブランドとしてのブランディング」、「企業としての経営」の両側面から考えて取引を進める必要があります。
ともあれ今は多くの売り場が委託・消化を採用しており、買い取りは限られた店舗でしか行われていません。完全買い取りはほとんどない状況です。

ー ポップアップショップでの商談が増えていると聞くが

 期間限定での出店依頼がいわゆるポップアップです。確かに近年増えています。先程お話ししたように、時流の取引条件を知っていて対応できるかは商談の入り口として決定的に重要です。ポップアップを敬遠するブランドも多いのですが、ポップアップショップに対応する体制や姿勢を持っているかで、そもそも取引ができるか否かの大きな差が生まれています。
改めてポップアップショップ出店のメリットを考えてみましょう。
1つはリスクヘッジです。売り場側は自社に来店するお客様にマッチし、数字が取れる商品か、そしてブランド側も正規出店する前にそのお店で実際に売れるかどうか、お互いにリスクを避けるための手法です。
2つ目はテストマーケティングに有効だということです。売り場でのお客様の反応を得る機会になるからです。
3つ目はブランドのPRです。実際に売り場で商品に触れてもらい、ブランドを知ってもらう良い機会です。好結果につながれば、その実績が売り先の開拓にもつながりますし、ブランドの知名度アップにも結び付くでしょう。
4つ目は自社ECサイトへお客様を誘導するタッチポイントだという点です。今や売り場でブランドを見て、購入はECからという方も多数います。そしてブランド側としても自社ECサイトで販売した方が利益率は高いです。ですからポップアップ展開時には、どんどん自社ECサイトの宣伝をするべきです。ECサイトのアドレスが記載されたパンフレット等を渡すのも効果的です。

ー でもポップアップショップの課題も多いが

 もちろんポップアップショップ出店にはいくつかの課題があります。販売員を付けるので経費が増える、店舗運営や店舗作りで経費が増えて売り上げとのバランスがとれない、デザイナーが売り場に立つ必要がある、そして特に地方での展開時には販売員の確保が難しいなどです。ただ、始めからポップアップ出店を除外して商談するのではなく、売り場側とも今後のブランド展開についてなどのお互いの理解を深めた話をし、シーズンで数店だけの出展と目標を決めて展開するのも良いと思います。合同展に出展する際には今の商流であるポップアップショップ展開とも向き合っていく方が、より多くの商談に繋がりますし、またそこから新たな可能性が生まれてくると思います。

ー その他に出展へのアドバイスを

 継続出展が大切です。全てのバイヤーが大小様々な合同展の全てを毎回チェックしているわけではありません。行ける時もあれば行けない時もあります。また、一度展示会で見て気になっていたブランドの「年間での企画が見たい」場合や、「継続してブランドを続けているのか」など判断基準も様々です。ですので、合同展に一回だけ出展し、それだけの結果をもって全てを決めつけていては、本当の自社ブランドの評価を正確に理解することはできませんし、出展とその結果の全てを主催者任せの“他力本願”になっていては効果的な出展とは言えません。合同展示会の出展をどのように位置づけ、その結果をどう次に繋げるか。自ら「主体的に」に、そして「意図」と「意志」をもって出展することが重要です。
そして、主催者や他の出展者とともに展示会全体を盛り上げていくことが市場活性化、各社のビジネスの隆盛につながり、さらには来場者をも巻き込んで一緒にファッションビジネスを盛り上げていくことが今の売れない時代には必要だと思います。

POPUPの風景